初めて迎えた犬の耳が聞こえなかった話(先天性の難聴)

■よもぎ-疾患と通院記録
彼女は耳が聞こえません。

気がついたのは1歳が過ぎた頃です。

身内に不幸があり、九州の方へ行かなければいけなくなり預かっていただいた先で判明しました。

なぜ毎日一緒に生活をしている私たちが気がつかなかったのか。それは、犬を飼う事が初めてだったからだと思います。

確かに呼んでも100%来るわけではなかったですが、子犬なんてチャカチャカ動いているか寝ているかしかないと思っていたのでこんなものなのだと気にもしていませんでした。

九州から戻り預け先に迎えに行った際、「もしかして聞こえていないかも」と言われ驚きました。

帰り道、車を走らせながら今までの日常を思い返し「そういえば・・・」と思うことが次から次へと出てきてハンドルを握る手が震えたのを覚えています。

帰宅後、ネットで散々調べました。自分で出来る検査法なども試しましたがやはり反応してくれませんでした。

かかりつけの獣医さんに相談したところ、同じような検査方法で試して頂き「うーん。。聞こえてないかな?きっとね、飼い主さんがそう思うのなら間違い無いです。」と。

詳しい検査も出来るらしいのですが、日本に数件しか検査する設備がないそう。

それに、検査したところで耳が聞こえるようになるわけではないのでおすすめはしません。と言われました。

確かに私もそう思いました。そして獣医さんが「聞こえないけど、聞こえる子と同じ様に接してあげてくださいね。きっと通じますから。」と。

先生にそう言われたことで、「あぁ、ちゃんとこの子の個性として受け入れてあげよう。方法はいくらでもあるはず。」と、そこでやっとメソメソしていた自分を吹っ切ることが出来た気がしました。

難聴の子の特徴(うちの子の場合)

  • 声での呼び戻しが出来ない
  • 後ろから触るとビックリしてパニックになる
  • チャイムに無反応
  • 振動に敏感(床から伝わる振動など)
  • 性格もあると思いますが神経質(物事をルーティーン化させるなど)
  • 周りが突然動き出すとパニックになる
  • 常に家族が視界に入っていないと不安がる(分離不安症状)
  • イレギュラーな出来事に対応できない(受け入れない・パニックになりやすい)
  • 家具の配置やケージの場所を変えると落ち着かない(興奮して留守番が出来ない)
  • リビングや寝室のドアを閉め切ると開けるまで激怒する
  • 睡眠が深い(熟睡する)
  • 保定されるのがとにかく嫌(爪切り・耳掃除・病院での検査など)

ざっと書いてみましたが、突発的な出来事に対応出来ない傾向にあると思います。

健常の子は、耳と目・鼻から情報を得ることが出来ますが、難聴の場合は目に見えるものと匂いだけで情報を集めます。

難聴の子だけの飼育でしたらここまで興奮したりパニックになったりしないのかもしれません。そもそも聞こえない事が当たり前で、ずっと音の無い環境にいるわけですから気がつかないことも多いんだと思います。

大体彼女はそばにいて彼の気配を感じています。パイドが彼女。

我が家の場合は、健常の子の行動を察知して情報を得ることがほとんどです。

彼が我が家に来てから、自分とは違うコミュニケーションを取っていると彼女なりに気がついたのだと私たちも感じていました。

彼女は、何かわずかな振動を感じたり誰かが動き出したりした際に彼の耳や表情、動きなどを観察して情報を得るようになっていきました。

自分で感じなくても彼を観察していれば何かが起こった時にすぐに分かるので、基本彼女の視界には彼がいます。もしくは彼の振動が伝わる範囲に居るようになりました。

それと最初は2頭とも同じケージで留守番させていました。震災を経験してから寄り添って寝ることが増えたので別々だったケージを大きい物に替えて一緒に留守番などをさせることにしました。

一緒にお留守番していた頃

留守中は基本寝っぱなしの彼女です。私たちが帰宅しても気が付かずに寝ていることが殆どですが、ケージを1つにしてしばらく経った頃から彼が難聴の彼女を起こす仕草をするようになりました。

最初は帰宅したのが嬉しくて彼女にちょっかいを出した様に見えたのですが、段々と明らかに起こす仕草をする様に。

それでも力強く起こすので彼女は毎回パニックになっていましたが、彼に「びっくりしちゃうから優しく起こしてあげてね〜」とか、「良い子良い子してあげてね」とその度に教えてあげていたら遂に鼻先で優しく起こす技を習得してくれたのです。

きっと彼の性格が元々穏やかなので出来たことなのかもしれませんが、犬ってこんなに賢いんだと驚きました。

彼女が2歳くらいから9年間くらい一緒のケージで就寝・留守番をしていましたが、シニアになりそれぞれのペースが出来ていたり、あまり考えたくはないのですが獣医さんからそろそろ少しずつケージを別にしてお留守番させたほうがいいと言われているので最近はケージを分割して横に並べるところから始め、少しずつ部屋の中で距離を離すという練習をしています。

彼女が弟を常に頼りにしているので飼い主的にはずっと一緒にしてあげたいのですが、もしもの事を考えると今から一人の時間を過ごす練習はお互いにとって必要なんだと思います。

留守番もお互い単独ではパニックになります。弟は単純に一人だった事がないので鳴くしケージを壊してまで追いかけますw(力強過ぎ)

上に挙げた大部分は、飼い主が気をつければクリアできる問題だと思います。例えばいきなり背中を触ったりせず彼女の正面に回ってから触るなどの工夫をすれば何の問題もありません。

チャイムに関しては、聞こえないので気が付かないのは当たり前でむしろ助かるのですが、起こすことを習得した彼が今度はチャイムが鳴ったことを教える様になってしまったので飼い主的には残念です。笑

床から伝わる振動に敏感ということは、やはり情報収集するための手段になっているのだと思います。実際、彼女は床で寝ている事が多いので。

人が歩く振動や床に物を置いた時、ドアを閉めた時の振動など床と繋がっていると色々な振動を感じて情報を得ているのだと思います。

以前は脚が滑らないようにタイルカーペットを敷き詰めていたのですが、今は情報収集が出来る様にフローリング(クッションフロア)のままにしてあります。

彼女がパニックになる根底には、おそらく神経質な性格があるのだと思いますが、1日の生活の中で自分の決めたルーティーンをこなせていると落ち着く傾向にあります。

ルーティーンで決められているのは朝と夜の流れで、

起床(帰宅)→トイレ(小)→ご飯→トイレ(小をして一度トイレから出てまた入りクルクル→大)→お水飲む

このルーティーンはもう何年も崩さずにやっています。このルーティーン中にイレギュラーな事が起こると、ウ○チをしてくれなかったり、興奮してご飯を食べなかったりします。

その他に、最近ではお留守番は1回までと謎のルールを作っている様で、一度外出して戻り、数時間後にまた留守番をさせると癇癪を起こします。(これ本当に困っています。一度の外出で全ての用事を済ませなければいけないという謎のプレッシャー!)

以前は昼休みに一度帰宅して様子を見に行っていたのですが、再外出で暴れるので夜まで帰らない様にしました。笑

様子は留守番カメラを使用しているので数時間おきにチェックしています。

むしろ今は途中で帰らない方が熟睡してくれるので良いのかもしれません。

イレギュラーな事(家具の移動・家族が突然動き出す・ドアを閉め切る)に関してはなるべく興奮させないように気を使えば防げることが多いので飼い主の努力次第で何とかなっています。何かする時は、彼女に終始見せながらやると割と落ち着いています。(例えば家具の移動など)

保定に関しては、これも性格によるのだと思います。

彼女の場合は、パピーの頃通っていた病院で激しく保定されたトラウマがあり、以降爪切りや歯磨きなど震えて逃げるようになりました。

今は別の病院に通っているのですが、10年以上経った今でも診察台と保定は嫌がります。

基本的に後ろからのアプローチが苦手なので、少しずつ慣れさせる練習を未だにしています。

触りますよと合図をしてから後ろからゆっくり抱きしめて嫌がったら直ぐ離すを毎日繰り返して、抱きしめる時間を少しずつ伸ばしていっています。

今のところ15秒くらいまで更新しています(筋金入りのトラウマw)

難聴の子を迎えて、一番困る事はおそらく「コマンドの入れ方」なのかもしれません。

彼女は「おいで」「お座り」「お手・おかわり」「待て」「よし」「伏せ」「ダメ」は出来ます。

もしかしたらコマンドがなかなか入らなくて悩んでいらっしゃる方がいるのかも?と思いましたので次の記事で具体的に書いてみようと思います!追記:「耳が聞こえない子のコマンド練習法」」

難聴の子でも健常犬と同じように色々な事が出来る様になりますよ!

彼女を単独で飼育していた頃は、飼い主とあまり視線も合わさずとにかく鳴き叫ぶことで意思表示をしようとしていたのですが、多頭飼いになってからは明らかに色々な表情をしてくれる様になりましたし、鳴くこと=意思表示ではなく他の手段も使えるようになりました。

弟の行動を観察して、彼女なりに沢山学んだのだと思います。

彼女を見ていて難聴の子は、ウチの場合だけかもしれませんが周りを観察する能力が高いのではないかと思います。

躾がなかなか入らないと悩んでいる方も多くいらっしゃると思いますが、愛犬が私たち人間を観察している様に、飼い主側もたくさん愛犬を観察してあげることで愛犬の性格や躾の方法のヒントが見つけやすかったりするのではないかと思います。

私がいつも心掛けていることは、難聴の子が生きやすい様に私たちが動いて(理解・誘導)あげたり、なるべくパニックを起こさせない、何かをする時は前もって彼女にわかるように伝える様にしています。

あくまでうちの子の場合で、難聴の子にも様々な性格の子がいると思いますので、参考の一つとして頂ければ嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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